四国学院が、雪辱を果たした春季リーグ。第三週には無敗の大学がなくなるとという近年稀に見るデッドヒートとなり、最後まで死力を尽くしたリーグであった。が、最後は地力の違いを見せた四国学院が勝ち切り、勝点5での完全優勝となった。
四国学院はリーグ中盤まで、投打が噛み合わず、愛大・高大にそれぞれ一敗することとなり、リーグ戦は混戦となった。しかし、この二敗後、背水の陣となってから大きく変貌を遂げた。第三週の高知大との第二試合、二番手投手陣の丁寧な投球で逃げ切り勝利となってからは打撃陣が覚醒し、一気に本来の力を取り戻した。この試合を境に、福冨新体制による「ニュー四国学院」の本領発揮となり、7連勝で覇権を取り戻すこととなった。この覇権奪還の原動力は、細田、河野、児玉を中心とした二番手投手陣の奮起にある。それぞれの特徴を遺憾なく発揮し、ゲームを作り、大黒柱の高野に負けず劣らずの働きを見せた。また攻撃陣も空田・福山らの上位陣による豪打・長打での得点に加え、下位打線も進塁打・単打を取り混ぜ、しぶとく点を取りにいく多彩な攻撃を見せ、劣勢もひっくり返す懐の深さを見せた。6月に始まる全日本選手権では、四国にはない強豪との対戦となり、厳しい戦いは必至である。昨秋から進化を遂げた四国学院大学がリーグで見せた力を持って、全国の猛者へ挑戦してもらいたい。
連続の二位となった高知大。井筒・美島が本調子でない中、平野・柴田らの中継陣が試合を作り、奮闘した。攻撃陣も長打が見込めない中、上位下位ともに機動力を発揮し逆転劇を演じるなど、身上の「粘り」を見せ、全大学から勝利を上げている。ただ、第三週、四学の底力を止められず連敗を喫したことが最後まで響くこととなった。三位の愛媛大。宇野、吉田、寺内ら経験の浅い投手が台頭し、失点の計算ができるディフェンスへと成長し、リーグ中盤からは接戦に強い愛媛大へと大きく前進した。松大を撃破、四学に一勝と、その進化をいかんなく発揮し、混戦のリーグ戦の立役者となった。昨秋覇者の松山大は順調な滑り出しであったが中盤の愛大戦から、大きく歯車を狂わせ、リーグ前半と後半では大きく明暗を分ける結果となり、悔いの残るリーグとなった。坂本・妹尾・田中らの上位陣を中心に、打線で勝負し一点をもぎ取っていくしぶとい攻撃陣は健在であったが、ディフェンスの面で昨秋の力を超えることができなかった。松本、西岡・赤松ら投手陣総動員での必死の継投のリーグ戦であったが、その不安定さが試合巧者の戦いぶりを狂わせてしまった。香川大は、苦しい戦いが続いたが、昨秋同様、鳴教戦で勝点を上げ五位に滑り込んだ。多くの試合で試合中盤までは接戦を展開しており、投手陣を含めたディフェンス陣の整備が進めば、上位に食い込む潜在能力は持つ。連続の最下位となった鳴門教育大。慢性的な部員不足の中、全選手全力のプレーを続けるリーグとなった。リーグ後半は上位大学とタイブレークに持ち込むなど、ディフェンス陣の安定と勝負強さが光り、鳴教大らしさが随所に発揮されたが、勝ち切れず最下位に沈む結果となった。
二部は、高知工科大が打線の爆発もあり、7連勝で一気に優勝を手繰り寄せ、入替戦に出場することとなった。しかし、入替戦はその自慢の打線が鳴教大投手陣に封じ込まれ、二連敗となり、一部昇格の夢は持ち越されることとなった。
今春より導入されたタイブレーク。まさかの6試合がタイブレークで決着を見ることとなった。審判部の的確な指導・対応で適切に運営され、混戦のリーグ戦により一層の緊迫感を与えるものとなった。
今春のリーグ戦期間中の4月14日に、当連盟の副理事長であり、愛媛大学硬式野球部総監督の野本壮一さまが逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。生前のご功績を偲び、ご冥福をお祈りいたします。