秋季リーグは三連覇を狙う愛媛大と連続の二位の高知大の三季連続のマッチレースとなった。両大学ともに三敗となり後のなくなったリーグ後半、苦しい戦いを意地の四連勝で一歩も引かないまま国立勢同士初のプレーオフにまでもつれ込んだ。プレーオフもリーグ戦同様、両者一歩も譲らない戦いの中、高知大が粘りきり18季振りの栄冠で幕を閉じた。
高知大は"鉄腕シバタ"のフル稼働が栄冠の原動力となった。貧打に苦しむ中、柴田-加賀爪のバッテリーは安定の投球で高知大の身上である"粘りの野球"の屋台骨を支えた。バッテリーに応える形で、守備範囲の広い外野陣・堅実な内野陣のディフェンスが機能し、苦しい場面も最小失点で切り抜けたことが大きな勝因である。貧打に苦しんだ打線だが、かたくなに一点にこだわる攻撃が加賀爪の3本塁打など幸運を呼び込んだ形となった。
愛媛大は、エース田中・新人佐藤、捕手乗松と磐石なバッテリー陣で、混戦を切り抜けてきた。春からの主軸の入れ替わりや学業のため主軸を欠いたが、攻守とも大きな見劣りなく、チーム力の高さを随所に発揮した。受け継がれている勝負強さに機動力が加わり、得点力の高さはリーグ一であった。最後は高知大の意地と粘りに鼻の差でかわされたが、来春、大きな戦力の入れ替わりもなく、覇権争いの中心となることは間違いないだろう。
開幕に出鼻を挫かれ、歯車が噛み合わなかった四国学院。重村・小久保・土田の投手陣が踏ん張りゲームを作ったが、持ち前の打線が機能せず、投打が噛み合わなかったことが悔やまれる。その中で愛媛大から勝ち点を奪い、混戦のリーグを演出し、能力の高さは見せ付けた。
開幕週を落とし、四度までも三回戦までもつれるという、らしからぬ戦いが続いた松山大。エース玉木の孤軍奮闘の戦いが光ったが、それに続く投手が現れず、波に乗れなかった。打線も波が激しく、各大学のエースには苦しみ、一点を積み上げていく勝負強さを発揮することが出来なかった。
香川大、開幕に勝ち点を挙げたが、第二週愛大にその勢いをとめられ苦しい展開が続いた。その中でエース楠本が熟練の投球で窮地を救い最下位を免れた。走攻守ともに能力は高く波に乗れば怖い存在であり、若手投手陣が台頭すれば春季も台風の目となりうるだろう。
初昇格の高知工科大、四勝を挙げ他大学とも対等以上に渡り合い、前評判どおりの戦いぶりであった。ただ試合の終盤に運に見放される場面もあり勝ちきれなかった試合があったことが悔やまれる。
こちらも高知工科と鳴門教育の三季連続の対戦となった入替戦。意地をかけ、両大学共に持ち味を遺憾なく発揮する試合となった。だが、地力に勝る高知工科が投打で上回り、粘る全員野球の鳴門教育を振り切り、残留を決めた。
悲願の優勝を遂げた高知大は、10月24日の中四国代表決定戦に挑む。全国クラスの強豪との対戦となり、厳しい戦いが予想される。リーグ戦で発揮した"粘り"を再現することができれば、わずかながらでもチャンスは出てくるだろう。四国六大学の代表としての意地を見せてもらいたい。