リーグ総括~2016春

 4月2日に開幕した四国六大学野球春季リーグ戦。毎年天候不良による順延に悩まされるが今年は順延が一度もなく、予定通り日程が消化された。第二週終了時点で勝点2が3チーム、勝点0が3チームと二極化されリーグ後半は優勝争いが3チームに絞られる形となった。第三週2回戦を劇的な逆転勝利で飾り勢いづいた愛媛大が第四週で優勝を決めるとそのまま10勝負けなしの完全優勝で二年連続の全日本選手権出場を決めた。
 その愛媛大は絶対的エース田中が防御率0点台と圧巻の投球を見せチームを牽引した。入学時より140km超える直球が目立っていたが、学年が上がるにつれて投球術が向上し「勝てる投手」へと進化した。さらに二番手・佐藤も角度のある直球と落差の大きいカーブの緩急で打ち取り4勝を挙げる活躍を見せた。その2投手を捕手乗松が巧みな配球で引き出し完全優勝につなげた。攻撃面でも派手さはないものの走塁、バント、エンドランなどの精度が高くそれぞれが役割を果たし幾度となく終盤での逆転勝利を挙げた。9番打者山本の打率4割、打点9に代表されるようにどこからでも得点を奪うことができ得点の幅が広がったのも優勝の要因だろう。
 惜しくも2位となったのが四国学院。橋野新監督を迎えて新生四国学院としての再スタートのリーグであった。愛媛大に僅差で敗れ、優勝とはならなかったものの、常勝軍団復活がうかがえる戦いぶりであった。エース小久保は140km後半の直球とフォークで翻弄し6勝で最多勝を獲得した。65イニングを投じ与えた四死球はわずか14。一冬を超え大きく成長した見事な投球であった。攻撃面でも1番打者山城が.378、3番打者桝田が.383、4番打者原がリーグトップの422、5番打者平山が.310と上位打線に破壊力があり、チーム打率も3割と打撃陣は好調であった。後半戦小久保頼りになり二番手先発で苦しんだところが愛媛大との差を生んだ一つの要因であろう。
 昨秋優勝の高知大は試合巧者ぶりを発揮し、四週目まで優勝争いを演じるが四国学院に屈し二季連続の優勝とはならなかった。益原が5勝と孤軍奮闘したものの、わずかに力及ばず3位となった。捕手が固定できず毎試合流動的となり上位相手には苦しい戦いとなった。そんな中経験豊富な主将柴田は徹底マークにあいながらも高打率を残し存在感を示した。勝負強さは随一で、四国六大学史上でも記憶に残る選手の一人となるだろう。
 松山大は今季も苦しい戦いが続いた。開幕週で四国学院との激戦に敗れて以降歯車が狂い、第三週終了時点で勝点が奪えない状況になった。残り二週で意地は見せたものの、四国学院とは対照的に上位3大学にさらに差をつけられた印象である。継投失敗や残塁の多さが目立ちチグハグな戦いになってしまった。ただリードオフマン藤堂は高打率の残し、3番田原は打点10を挙げるなど来季以降期待のできる戦力は整いつつある。
 1部参戦2季目となった高知工科は秋から一つ順位を上げ5位で終えた。投手陣に絶対的柱はいないものの中村、先田ら必死の継投で踏ん張った。開幕戦の高知大戦でタイブレークに持ち込むなど上位大学にあと一歩に迫る戦いは見せた。攻撃面では四番山川の調子が上がらないままリーグを終えたのが想定外か。個の能力は高いだけに上位進出するためにはさらなるチーム力の向上に期待したい。
 香川大は波に乗れず、勝ち点を奪えない形で最下位となった。得点能力の高い香川大であるが今季は期待の上位打線も不調で苦しい戦いを強いられた。終盤まで接戦に持ち込むも勝負強さを発揮することができなかった。

 2部リーグは最終週の吉野川ダービーを制した鳴門教育大が完全優勝を成し遂げた。入替戦でも鳴門教育は1部6位の香川大相手に第一戦は終盤まではリードを奪う展開であったが、香川大が意地を見せ逆転。第二戦も同様に最後まで粘る鳴門教育をタイブレークの末、香川大が振り切り、1部残留を決めた。

 優勝した愛媛大は2年連続で全日本選手権に挑むことになる。昨年は久しぶりの出場でミスから失点した場面があった。昨年を経験した選手も多く、リベンジに向けて意欲は高まっている。田中-乗松のバッテリーに加え、バリエーション豊富な攻撃陣が機能すれば四国勢11年ぶりの勝利も見えてくる。不安をあげるとすればリーグ最多の14失策を記録した守備面。残り期間守備面を鍛え直し、愛媛大だけでなく四国勢悲願の全国での勝利を期待したい。最終週で愛媛大は高校時代21世紀枠で選抜甲子園に出場し1勝、「松山東旋風」を巻き起こした立役者亀岡が初登板、初勝利を成し遂げた。さらに勝田もしなやかなフォームから140km超える直球を投じ球場を沸かせた。2人のスーパールーキーの登場により全国での戦いもさらに期待が増す。

 一方、他大学は代替わりとなり、約3か月後に迫った秋季リーグに向けて活動を始めている。愛媛大黄金時代の到来を阻止すべく、各大学とも打倒愛媛大に向け、燃えている。秋もまた熱い戦いとなるだろう。

リーグ戦結果(星取表)はこちらから

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 この春より、試験的にインスタグラムを設置してみました。各大学マネージャー、連盟員、関係者などのスタッフが撮影した写真のいくつかが掲載されています。お楽しみください。今後順次拡張していきます。
20160408 愛媛大学円陣