平成29年度春季リーグ戦は一ヶ所開催、4チームが集まるバトルが4週に渡って行われ、例年に比べ観客数が増加し、盛り上がりを見せた。
第1週目の雨の影響で6週まで及んだ激闘の末、10戦全勝で王者四国学院が復活、8季ぶりの全日本大学野球選手権大会出場を決めた。
エースの小久保(4年:鹿児島玉龍)は、140㎞後半のストレートを軸に、フォークを織り交ぜた安定感抜群、圧巻の投球を見せた。次期エース候補土田侑(3年:丸亀城西)の成長とリリーフ藤岡(4年:伊予農業)が踏ん張り、2戦目も落とさない布陣を敷いた。小久保は0.84、土田侑は0.39という驚異的な防御率を叩き出した。打撃陣は新加入の水上(1年:帝京第三)が4番に座り、より厚みを増した。さらにチームの顔である原(4年:日大三)や0.471の高打率を残した三塁手の藤原(3年:三島)、恐怖の9番森口(3年:徳島科学技術)、指名打者の古谷(2年:大冠)など、どこからでも途切れない打線で完全優勝に導いた。橋野監督は就任2年目での悲願達成となった。
昨秋までの紅葉から春の新緑へとフォルムチェンジした2位の高知工科。大躍進を遂げ、一回りも二回りも大きな木へと成長した。毎年投手陣に課題を残すが、今季は評判の良い打撃陣に加え、エース尾崎(2年:徳島北)が防御率1.15という成績を残す著しい成長がAクラス入りの要因であった。今後の成長曲線に大きく期待したい。最多打点の先田竜(4年:今治西)を筆頭に、土屋(4年:盈進)、西本(3年:今治西)が打率3割を超える活躍で強力打線を牽引した。
今季もしぶとい野球を見せ、3位となった高知大。やはり主戦の上ノ薗(2年:小林)のキレのある球筋は、相手打線を苦しめた。また、2番手道原(3年:西京)は昨季の防御率6.23から2.57と一冬を越え飛躍し、上ノ薗との先発二枚看板を担った。伝統の繋ぐ野球を支えたのは、主将田中隆(4年:広陵)、藤田(4年:広島国泰寺)、大羽(4年:富岡西)ら4年生の力であった。来季も松下大(3年:阿波)、名嘉真(3年:那覇)、片山(3年:松山東)といった好打者が伝統を継承し、Aクラス入りを伺う。
近年四国地区の頂点に君臨していた愛媛大だが、今季は4位に沈んだ。エース亀岡(2年:松山東)の孤軍奮闘となり、打撃陣はこれまでの機動力を生かした攻撃が出来なかった。また、2週目のアクシデントにより正捕手乗松(4年:松山東)の戦線離脱が順位に影響した。主軸の不振により、メンバーが固定出来ず、経験の少ない野手に命運を賭ける形となった。
低迷している四国地区の名門、松山大は昨秋2位という好成績を残し復活の時を迎えたかに思われたが、今季は非常に苦しい戦いを強いられ、5位に転落した。先発の軸である左腕の平山(4年:高知)、渡辺(3年:東温)の不調で3週目を終え勝点を奪えず。対鳴門教育2回戦ノーヒッターの鴻上(4年:新居浜東)、リーグ後半で登板機会を得た川上(3年:三原)の活躍で4、5週目を乗り切った。打撃陣も奮わず、小技を絡めた攻撃が出来なかった。
2015年春以来4季ぶりの1部復帰となった鳴門教育は6位に。エース安丸(3年:川島)の故障がチームにとって痛手となった。しかし、4週目の松山大、5週目の四国学院を追い詰める試合展開を披露した。毎年部員数こそ少ないが、マネージャーも含めて全員野球で戦う姿勢は四国一といえるだろう。
2部は香川大、徳島大が最終週までお互い全勝し、1部昇格の切符を賭け熾烈なリーグとなった。両者直接対決では、一勝一敗でプレーオフにもつれ込むことに。1回戦ではエース上西(3年:香川中央)が9回を2点に抑える好投、2回戦は濱田(3年:創志学園)が本塁打を打つ活躍で2部優勝を果たした。
香川大は、1季で1部に昇格しようと決死の思いで臨んだ入替戦。上西が鉄人であるかのごとく3戦完投の素晴らしい投球でチームを鼓舞したが、1、3回戦で登板した鳴門教育安丸を攻略できず1部昇格はならなかった。鳴門教育は少数精鋭、チーム一丸となって1部残留を掴んだ。
四国地区大学野球連盟は2005年春の四国学院が1回戦勝利以来、全国の舞台で勝てていないのが現状。今回も四国学院が全国で飛躍する姿を見たいところ。6月6日(火)9時から神宮球場で東北の強豪、東北福祉大との対戦が決まってる。持ち前の戦力を存分に発揮し、四国地区12年ぶりの勝利を連盟全体で願っている。
◆第66回全日本大学野球選手権大会
6月6日 火 9:00 四国学院大学vs東北福祉大学 明治神宮野球場