平成29年度秋季リーグ戦は松山での一ヶ所開催からスタートし、数々の熱い戦いを繰り広げた。
雨の影響で順延が相次いだ今リーグ戦は、四国学院が全節第三戦までもつれ込むという苦しい展開になりながらも粘りを見せ、二期連続の優勝を成し遂げた。
四国学院の強さはなんといっても投手陣だろう。エース小久保(4年:鹿児島玉龍)、次期エース土田(3年:丸亀城西)の先発陣は安定感抜群である。リーグ序盤は時折不調をうかがわせる場面もあったがそれを経験でカバーし、「勝てる投手」としての力を発揮した。そして今季四国学院を支えたのはリリーバーを務めた四回生 重村(4年:樟南第二)の存在だろう。試合後半、ピンチのここぞという場面で登場し、キレのある変化球を中心にハートの強い投球を披露した。打撃陣は、得点力不足が懸念されたものの、水上(1年:帝京第三)、藤原(3年:三島)、今季の打点王 山田(3年:尽誠学園)を中心に勝負強い打撃を見せ、厳しい試合をものにした。
二位となった愛媛大学は、亀岡(2年:松山東)を中心とした固い守りで勝ちを重ねていったが、四国学院には及ばなかった。今季は楠(3年:川西緑台)、西久保(4年:阿波)、民部(2年:倉敷南)を中心に低く強い打球が目立った。また今季はフレッシュなメンバーがスタメンに名を連ねた。サードの上原(1年:倉敷天城)、大前(1年:龍野)、ショートの太田(1年:加古川西)、田上(1年:豊田南)など若い力が躍動した。上級生では佐藤(3年:福山誠之館)が復調したのがよい兆しか。
三位となった高知工科は、投手陣が苦しんだ印象だ。山上(2年:丸亀城西)が孤軍奮闘の活躍を見せたものの、二・三枚目の投手の活躍がなかったことが、四国学院と愛媛大学の両大学から勝ち点を落とした要因ではないだろうか。だが持ち前の攻撃力は今季も健在だった。長打力のある山川(4年:高知商業)、先田竜(4年:今治西)、広角に打てる杉野(1年:今治西)などどこからでも点を取れる打線は脅威だった。
四位となった松山大学は対照的に攻撃陣が苦しんだ。首位打者に輝いた世木田(3年:広島国際)やハイアベレージを残した宗岡(3年:松山商業)がいるものの、その他の選手に当たりがなく、打線としての繋がりを欠いた。投手陣は最優秀防御率の渡辺(3年:東温)やリリーバーの河野(1年:臼杵)を中心とした安定感のある投球を見せた。それだけに野手陣の不調がAクラスを逃した要因であろう。
五位になった鳴門教育は、五季ぶりとなる念願の勝ち点を獲得した。チームの柱である打の菊場(3年:清水東)と投の安丸(3年:川島) が期待通りの活躍をしたことが、勝ち点奪取の要因だろう。また児玉(2年:洲本)や宇良(2年:大手前高松)も持ち前のシュアな打撃を見せ、先発二番手の田原(2年:岡山城東)が初勝利をあげるなど二回生の活躍も光った。
六位に沈んだ高知大学は、苦しいシーズンとなった。エースとして活躍を期待された上ノ薗(2年:小林)は制球に苦しんだ。二枚看板のもう一人 道原(3年:西京)は、粘りのピッチングを続けたもののなかなか勝ちがつかないシーズンだった。野手陣もスタメンが固定できず苦しい器用が目立った。しかし、そのなかで新戦力の台頭もあった。投手では井上(3年:伊丹北)、野手では柘植(2年:出雲)がいい活躍を見せた。新たな力との融合が出来れば、春季リーグでの優勝もある。
Ⅱ部では、香川大学が他を寄せ付けない強さを見せた。エースとして活躍を見せた佐々木(3年:高知追手前)、好打者 濱田(3年:創志学園)などⅠ部のチームにもひけをとらないチーム力だった。入れ替え戦では上ノ薗と道原を打ち砕くことが出来ず、悲願のⅠ部昇格とはならなかったが素晴らしい戦いを見せてくれた。
春に四国学院が、「四国の野球」の力を全国に向けて披露した。秋季リーグで優勝した四国学院は10月27日(金)に、中四国代表決定戦(場所:愛媛県東予球場)に出場する。小久保中心でゲームをつくり、連盟として悲願の明治神宮大会出場を今回の四国開催で勝ち取る事を期待したい。
そして四国の野球のレベル向上の為に四国地区全体が着々と力をつけている。春に向けてもう戦いは始まっている。