2019年度秋季リーグ 総括

四国学院大学が2018年春以来となる優勝で幕を閉じた今季、最終週最終戦まで優勝争い、順位争いは混迷を極めた。

優勝の四国学院大は第1週、愛媛大を相手に2連敗で勝ち点を落とすなど、雲行きの怪しい幕開けとなったが、その後持ち直した四国学院大は破竹の勢いで8連勝し、優勝をもぎとった。
投手陣では抜群の安定感を誇り、これまでエースとしてチームを支えてきた加藤(3年:新居浜東)に加え、今季より主将としてチームを引っ張る水上(3年:帝京第三)が投手に転向。首位打者も経験した好打者がバッターボックスからマウンドに戦いの場を変え、140キロ中盤を超える速球と切れ味鋭いスライダーを武器に相手打者を圧倒した。
打線では俊足の川満(3年:那覇工業)が打率.410をマークし、リードオフマンとしての役割を十二分に果たした。また、2年生ながら中心選手となりつつある山田倫(2年:四学大香川西)、新戦力の宇座(1年:宮古)、松本(1年:明桜)らが躍動。
投打ともに層の厚さを見せつけ、最終週、勝ち点を獲得した方が優勝という大一番で、高知工科大に2連勝し、優勝を勝ち取った。

松山大は第1週、2連覇中だった高知工科大を相手にいきなり2連勝するなど、昨季最下位から奮起し、2位へ躍進した。
投手陣は右腕エース大東(3年:徳島城南)、ルーキー左腕菊池(1年:宇和島東)が安定した投球を見せ、河野(3年:臼杵)、亀井(1年:三本松)の磐石なリリーフ陣に繋ぎ、チーム防御率1点台と投手陣の充実ぶりを見せた。
野手は今季より1番に座る古森(1年:小松)が打率.447で首位打者を獲得、同じく1年生で主に4番を任された渡部颯(1年:明徳義塾)が打点王を獲得するなど、若い力が躍動した打線となった。
しかし要所で勝ち点を落とし、優勝とはならなかった。

高知工科大は2連覇中の暫定王者として臨んだリーグだったが、第1週でまさかの2連敗。その後持ち直し四国学院大と優勝争いを演じたものの、最終週、四国学院大との直接対決で敗れ3連覇を逃した。
投手陣は大地(3年:松山北)がエース格へ成長。金本(2年:今治西)と共に先発を担い、チームを支えた。
また、打線は杉本(3年:高知)が打率3割を超えたものの、突出した成績を残した選手はおらず、昨季までの打線の破壊力は見られなかった。

愛媛大は第1週で優勝した四国学院大相手に2連勝したものの、2週目には勝ち点を落とすなど、優勝には届かなかった。
投手陣は長く愛大投手陣を支えてきた亀岡(4年:松山東)、勝田(4年:津山)の4年生コンビが今季も躍動。制球力抜群の亀岡、速球が持ち味の勝田の2人は優勝した四国学院大を始め、多くの打者を翻弄した。
打線では小田(1年:岡山操山)が首位打者争いに加わる活躍を見せ、クリーンアップに座り、打線を牽引した。また愛媛大の代名詞とも言える走塁で相手を掻き回す野球は今季も健在。チーム盗塁数はリーグトップの27盗塁と、塁上からのプレッシャーをかけ続け、相手バッテリーを苦しめた。

高知大は1週目2週目と立て続けに勝ち点を獲得、優勝候補に躍り出たものの、その後3週連続で勝ち点を落とし、5位という結果に終わった。
投手陣はエース松藤(2年:岡豊)、小林(1年:豊岡)、河邑(1年:土佐塾)など、制球力が際立つ左腕の活躍が目立った。
打線は今季より中堅手へコンバートの中山(4年:佐原)、主将としてもチームを牽引する大石(3年:呉宮原)らのチャンスメーカーぶりが光った。
また、中軸の緒方(2年:広島国泰寺)、岡田(2年:橿原)も安打を重ねたものの、噛み合わない攻撃も多く、得点を積み重ねることができなかった。

今季最下位に沈んだ香川大は0勝10敗とどん底を味わった。
投手陣はエース大森(2年:岡山城東)が不調で苦しむ中、1年らしからぬマウンド捌きを見せる平岡(1年:津名)、真っ直ぐの球威が魅力の谷藤(2年:大阪府立池田)が粘投したものの、勝ち星に繋がらなかった。
打線は今季主に3番に座った仲島(4年:総社南)が4年生の意地を見せるも、4番に座っていた大原(4年:高知追手前)の怪我による離脱に加え、下位打線の繋がりを欠き、得点力不足に苦しんだ。しかし、今季遊撃手のレギュラーを獲得した三宅秀(1年:倉敷商)が打率.400をマークするなど、明るいニュースもあった。

2部では徳島大と鳴門教育大が優勝決定プレーオフまでもつれる優勝争い。プレーオフで2連勝した徳島大が優勝し、入替戦に進んだ。

入替戦では香川大が先勝したものの、後がなくなった徳島大が2戦目3戦目で驚異の粘りを見せ勝利。香川大の2部降格、徳島大の1部昇格となった。

優勝した四国学院大は10月26日に行われる明治神宮大会中四国決定戦に四国代表として臨む。中国地区大学野球連盟、広島六大学野球連盟の強豪相手にどのような戦いを見せてくれるか、期待が高まる。

今季は各大学、1年生の活躍が目立つリーグとなった。今後四国で中心選手となっていく若い力に今後も目が離せない。冬のオフシーズンを超え、更なる成長が見られるか、来春への期待が膨らむ。
 
今季より四国地区大学野球連盟では、一球速報を開始。YouTubeのLIVE配信に加え、四国の大学野球をより身近に楽しめる新たな試みだ。

(報告者=香川大 吾郷)