2020年秋季リーグ総括
新型コロナウイルスにより春季リーグが中止となり、各チーム1年ぶりの公式戦となった今回の秋季リーグ。各々調整に苦しみながらも戦い抜き、結果的に高知工科大学が持ち前の打撃力で優勝を勝ち取った。
優勝の高知工科大は、開幕から8連勝と波に乗った。2位の四国学院大には1敗するも10試合を行い9勝1敗と他チームを圧倒した。
前述した通り破壊力抜群の打撃力を見せつけた。規定打席到達者9人の内7人が打率3割を超え、チーム打率3割5分4厘という脅威の数字を残した。中でも1番の杉野(4年:今治西)の剛柔兼ね備えたバッティングや、9番を任され、持ち前の脚力を活かしたプレーを数多く見せた新宅(3年:広島新庄)など一人一人が能力の高さを見せた。
投手陣ではスライダーが武器の大地(4年:松山北)と直球、変化球共にハイレベルな金本(3年:今治西)の先発2枚看板が勝利に向けしっかりと試合を作った。他にも先発、リリーフ共にこなし、140キロを超える直球、キレ味鋭いスライダーで打者を翻弄した萩森(3年:松山中央)、一回生ながら防御率0.00の数字を残した左腕岡林(1年:高知追手前)など、磐石なリリーフ陣が優勝への原動力となった。
四国学院大は開幕戦の高知大との試合、コールド勝ちで流れに乗ると思われたが2試合目にサヨナラ負け。しかしその後の松山大と愛媛大との試合は鉄壁の投手陣と硬い守備で粘り勝ち、優勝に望みを繋げたが高知工科大との直接対決で1勝1敗に終わり、惜しくも2年連続の優勝を逃すこととなった。
投手陣では最速150キロ、埼玉西武ライオンズに育成ドラフト指名された右腕水上(4年:帝京第三)と、ストレートとスライダーのコンビネーションが抜群の加藤(4年:新浜東)の2人を軸に相手打者を抑えた。来シーズンではこの2人の投手が居なくなるが、後釜として期待される左腕富田(3年:志度)や、山城(2年:中部商業)に注目したい。
打撃陣では打率4割を超えた石川(3年:英明)、身体能力を活かした打撃が魅力の山田晃(4年:英明)を中心に繋ぐバッティングでチームを勝利に導いた。
高知大は開幕高知工科大と四国学院大に2連敗。流れを断ち切りたい3戦目ではサヨナラ勝ち。勢いに乗るかと思われたが続く松山大と愛媛大の試合では1勝1敗となり、不戦勝となった徳島大の2勝、台風で2戦目が延期となっていた高知工科大との最終戦で負けてしまい5勝5敗の勝率5割の3位と去年より順位を2つ上げ、秋季リーグを終えた。
投手陣は松藤(3年:岡豊)、小林(2年:豊岡)、河邑(2年:土佐塾)の3人の左腕が中心となり打たせて取る投球を見せた。来シーズンでは速球派渡辺(2年:沼津東)など右投手の活躍にも期待したい。
野手陣では上位打線では緒方(3年:広島国泰寺)、黒瀬(3年:高知小津)の両打者、下位打線では9番を打っていたスイッチヒッター吾郷(3年:出雲)が打線を引っ張った。守備でも硬い守りが随所に見られ、来シーズンでもその硬い守りが見られる事に期待したい。
松山大は開幕愛媛大との試合をコールド勝ち。そのまま波に乗ると思われたが続く愛媛大学の2戦目から高知工科大、四国学院大、高知大の1戦目までの試合を落とし、6連敗という屈辱を味わった。順位も去年の2位から4位タイ、4勝6敗という結果に終わってしまった。
投手陣では先発は四国学院大学戦で9回無失点の好投を見せた大東(4年:徳島城南)、去年最多勝の菊池(2年:宇和島東)の2枚看板、さらにリリーフ陣では4回生の軟投派左腕の河野(4年:臼杵)、2回生の本格派東(2年:中村)を中心にチームのピンチを救った。来シーズンでは先発の一角、圧倒的安定感のあるリリーフが居ない状況になるが、高知工科大学戦で3回途中で降板したが無失点に切り抜けた速球派亀井(2年:三本松)、1回生ながら落ち着いた投球を見せた鈴木(1年:高瀬)といった若い投手陣に期待したい。
野手陣では昨年首位打者の古森(2年:小松)、今年リーグ随一の守備と安定感を見せた扇の要田中(3年:防府商工)、走攻守全てにおいてハイレベルの大西(2年:大手前高松)がチームを引っ張った。また、1回生も数多く活躍を見せており、長打力を見せた大村侑希(1年:松山聖陵)や、徳島大との試合において1試合3本の適時打を放った内山(1年:高松西)など1回生がチームを盛り上げる場面が多く見られた。
愛媛大は初戦の松山大との試合、守備の乱れもありコールド負けを喫するも、2戦目ではお返しとばかりにコールド勝ち。高知工科大と四国学院大との試合は僅差に持ち込むも2試合とも敗北、高知大との試合はなんとか1勝1敗にし、最終戦の徳島大との試合で2勝。4勝6敗の4位タイ、去年より1つ順位を落とす形でリーグ戦を終えた。
投手陣は防御率0点台と圧倒的安定感を見せた馬場(3年:浜松南)を中心に、11人もの投手でリーグ戦を戦い抜いた。去年、2人の4回生投手の抜けた穴は大きく、来シーズンでは教育実習により今シーズン2試合の登板に終わった松本(3年:川之江)の投球に期待したい所だ。
野手陣は攻守の要梶野(2年:松山中央)、浜本(3年:広島城北)に小技も出来る吉中(3年:広島城北)などが中心に、繋ぐ打撃に愛媛大学伝統の硬い守備でロースコアでしっかりと試合を作るといった手堅い野球を見せた。
来シーズンは去年ブレークを見せたものの今シーズン打率.207と苦しんだ小田(2年:操山)や、1回生ながら打力を買われ出場した阿部(1年:立命館)の活躍を期待したい。
徳島大は新型コロナウィルスの影響から、リーグ戦3週目からの出場となった。初戦の四国学院大から苦しい試合となり2敗を喫し、松山大、愛媛大との試合も勝利する事はできなかった。なんとか勝利をもぎ取りたい所であったが、徳島大学内から新型コロナウィルス感染者が出たことからリーグ戦出場を辞退。結果的に不戦敗となり全敗でリーグ戦を終え、最下位という屈辱を味わった。
投手陣は谷(1年:城北)、鏡石(1年:洲本)の1回生の投手が先発した。両者ともに制球やフィールディングといった所に荒削りな部分はあるものの、将来に期待したい投手には間違いない。
野手陣では同じく1回生の岡田(1年:今治西)、榊原(1年:大手前高松)の2人が活躍を見せた。他にも攻守に安定感を見せた丸田(2年:加古川東)や四番を任されしっかりと役割を果たした金辺(2年:倉敷天城)など楽しみな選手も多い。来シーズンではこれらの選手がチームを引っ張って勝利を目指してほしい。
2部リーグでは香川大、聖カタリナ大、徳島大医学部、鳴門教育大、新居浜高専の5チームがリーグ戦に出場。香川大と聖カタリナ大、鳴門教育大の3チームが主に優勝争いを繰り広げ、聖カタリナ大が4勝と負け無しで優勝を決めた。
今シーズンは新型コロナウィルスの影響はやはり大きく、試合内外で今までとは大きく違う部分があり各チーム難しい状況の中戦い抜いた。その中でも比較的若い学年の選手が活躍を見せるなど来シーズンに向けて楽しみな部分も多く見えた。
これから新人戦に向けて、さらには来シーズンに向けて既に戦いは始まっている。オフシーズンでどれだけ成長をするのか、また新たに入ってくる戦力など期待は膨らむばかりだ。
(報告者=松山大 谷田)