新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の予定より約1か月遅れた開催・Ⅰ部は総当たり1試合形式といったイレギュラーな試合となったが、最終週まで順位の見通しがつかない大接戦の秋季リーグ戦となった。
昨季リーグ戦の悔しさをバネに挑んだ高知工科大学は、4回目の優勝を果たし、中四国大会の出場権を獲得した。投手陣は、絶対的エース・萩森(4年:松山中央)が、昨季に続き最多勝・最多奪三振の2冠に輝いた。また、聖カタリナ大学戦で8回1失点に抑える等、他大学の攻撃を阻止することに成功した次世代エース・植田(2年:岡豊)の活躍もあった。打撃陣は、俊足巧打の新宅(4年:広島新庄)や岡本(4年:豊浦)、力強いスイングを放つ田邉(4年:高知南)を主軸とし、好打線で点を獲ることに成功した。さらに、最多本塁打・チーム首位打率を出した小柴(2年:西尾東)、1回生ながらスターティングメンバーに選出された橘(1年:尽誠学園)や天野(1年:広陵)のルーキーの活躍も優勝の大きな要因になった。
投打ともに優秀な人材を持つ四国学院大学は、順位決定戦まで登りつめたが、惜しくも2位という結果になった。毎試合、先発を担った新垣(3年:KBC未来沖縄)から始まり、今季防御率0.00・速球派の山城(3年:中部商業)や強気な球を投げる羽根(3年:広陵)のリリーフ陣へつなぐ投手陣リレーで相手の攻撃を抑え込んだ。打者陣は、今季多くの得点打を放ち攻撃に勢いをつけた仲里(3年:沖縄尚学)、高打率を残した仲村(3年:沖縄尚学)や明石(3年:坂出商業)といった好打者たちの活躍によって、得点の流れを生み出すことに成功した。
昨季7年ぶりに王座を手に入れた松山大学は、2季連続で首位を試みるも、それを達成することができず幕を閉じた。多彩な球種を投げ分け、相手を錯乱させる菊池(3年:宇和島東)や毎試合リリーフとして出場し、強力な右腕・鈴木(2年:高瀬)といった投手陣の活躍により、相手の打線を封じることに成功した。また、チーム首位打率者・田中(4年:防府商工)に加え、今季リーグで本塁打を放った古森(3年:小松)や髙嶋(3年:藤井)が松山大打線に大きく貢献した。
1部昇格後、成長の飛躍が大きい聖カタリナ大学は、首位・高知工科大学戦ではタイブレークに持ち越したり、四国学院大学に勝利を収める等の成績を残した。エースであるサブマリン山﨑(3年:小松)や四国学院大学戦で9回投げ切り勝利に繋げた窪田(2年:大分商業)を中心とした好投で、相手の打線を乱すことに成功した。打撃陣は、走攻守優れた曽我部(2年:新居浜商業)、長打力がある樋渡(3年:松山聖陵)や堀内(2年:伊予農業)といった高打率打者によって、聖カタリナ大学の新鮮な勢いを奮い立たせたリーグ戦になっただろう。
昨季リーグ戦を棄権し最下位になった愛媛大学は、粘り強い攻撃と守備で2勝することができた。ストレートに力のある若手エース・永山(2年:畝傍)や鋭い投球で攻撃を阻止する清水(4年:三鷹中等教育)、キレのある変化球を投げる多田(3年:槻の木)といった様々なタイプの投手陣によって相手に隙を与えなかった。打者陣は、今季首位打率.533を打ち出した渡邊(2年:祇園北)、聖カタリナ大学戦で3塁打を放ち勝利に導いた曽我(2年:今治西)、得点打で貢献した拝志(3年:松山中央)が愛媛大学の好打線を生み出したに違いない。
失策が続いたり、得点のチャンスを逃す等、満足できる結果を残すことができず、高知大学は最下位となった。ラストシーズンである速球派・西川(4年:福岡工業大学附属城東)を中心に、愛媛大学戦で6回1失点に抑えた渡辺光(3年:沼津東)やタイブレークで見事守り切った藤本一(2年:姫路飾西)といった右腕投手の活躍があったシーズンだった。打撃に関しては、チーム最多で安打を放った渡辺隼(3年:千葉商科大学付属)や的確なスイングができる藤本直(3年:報徳学園)、力強いスイングが持ち味の緒方(4年:広島国泰寺)による連続好打線が、高知大学の得点につながった。
2部リーグでは、香川大学・徳島大学・鳴門教育大学・新居浜高専が出場した。1部を経験したことがある徳島大学と香川大学が優勝争いを繰り広げ、最終回でサヨナラ勝ちをした香川大学が高知大学との入替戦に挑むことになった。
今季は、昨季に続き新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの大学が十分な練習ができない状況下で行われたリーグ戦だった。その中でも、ベテラン・ルーキー問わず多くの選手が活躍したシーズンになった。
今季は幕を閉じたが、来季に向けて既に戦いは始まっている。来季までに個人・チームそれぞれの課題をいかに克服するか、いかにレベルアップするかが勝利の鍵になるだろう。新たな戦力が加わる来春リーグでハイレベルな戦いが見られることに期待したい。
(報告者=高大 藤田)